スメルハラスメントが発生するニオイの原因
口臭
人体にはさまざまな臭いがあり口の中にも臭いが存在します。正常な場合は「生理的口臭」といわれ問題は生じません。ところが歯周病や糖尿病などの病気に起因するものや、ネギ・ニンニク・肉類・納豆・コーヒーといった臭いの強い物を食べたりしたことが原因で、口臭が発生することがあります。そのような口臭の中で社会的に容認されうる限度を超えている場合に、口や鼻から排出される気体を「スメルハラスメントになりうる口臭」と定義することができると思います。
体臭
人の皮膚に存在している菌が、汗・皮脂・垢などに含まれる成分を分解します。その際に発生するガスが体臭の主な原因だと考えられています。汗をかきやすい脇や、下着や靴下の中といった空気がこもる場所は特にニオイが発生しやすいです。運動不足や疲労、または病気が原因で体から臭いを発することもあるようです。一般的に、皮脂の量が女性より多い男性のほうが、体臭が強くでやすいとされています。
タバコ
タバコの臭いについていろいろな測定が行われていますが、嗅覚における刺激計測が困難であるため、現在もその原因は研究中で定説はないようです。タバコの煙に含まれるアセトアルデヒド・酢酸・フェノール・クレゾール・アンモニアなどがニオイの原因となっているとする可能性や、タバコに含まれるエテニルピリジンが、ほこりなどの微粒子に付着して空間を漂い、このほこりが鼻の粘膜に付着するとタバコ臭を感じるなど、色々な見解が示されています。
香水(化粧品)
香料をアルコールで溶解し体や衣服に付けるものです。体温により温められることで揮発しその分子を拡散させることで香りを人が感じます。香水の起源は古代エジプトまでさかのぼるといわれています。本来は良い香りと感じるはずですが、その量や香りの質によって周囲の人が不快と感じることがあります。
洗濯剤(柔軟剤)
洗濯後にも良い香りがするということを売りとした柔軟剤が増えてきていますが、香りに対して頭痛や吐き気などを伴う体調不良を訴える方も少なくはありません。柔軟剤で使用されている香料の成分は揮発性が高いため、人がニオイを感じやすいという特徴があります。最近では香りを継続させることを目的にマイクロカプセルで香りを閉じ込めたタイプの製品をメーカーが開発し始めています。
スメルハラスメントが問題化する理由
自分では気が付かない
自分自身のニオイに気が付きにくいのは、同じニオイを一定の状態でずっと嗅いでいると、人の感覚神経が順応してしまいニオイを感じにくくなってしまうためです。周囲の人が感じているほど自分自身ではニオイを感じることができず、知らず知らずのうちに周囲の人に不快感をあたえてしまうことになります。
デリケートな問題で指摘しにくい
口臭や体臭などを指摘することは、本人を深く傷つけてしまうとてもデリケートな内容です。ともすると体質的なことが原因である可能性もありますし、本人の心がけだけでは解決できないことかもしれません。指摘するタイミングや伝える内容を吟味する必要があることから、簡便に指導できないという問題点があります。
人の脳の構造上、感情的になりやすい
嗅覚は人の五感の中で唯一、本能的な感情をつかさどる大脳辺力系につながっており、潜在的な感情に直接働きかけると考えられています。腐った食べ物を不快に感じたり、煙などのものが燃えるときにでるニオイに敏感だったりするのは、人が本能的に危険をさけるために備わっているためで、感情的な議論に発展しやすく解決を一層難しくしています。
スメルハラスメントの対策や対応方法とは?
席の配置を変更する
人の嗅覚の感受性はひとにより大きく異なるため、問題が1対1の場合にはスタッフの席替えを行うことである程度対応できることがあります。
消臭対策(脱臭対策)を行う
無香料タイプの消臭剤を設置したり、消臭スプレーを使ってオフィスを定期的に消臭したりしてニオイを抑える方法や、空気清浄機・オゾン発生器を設置し消臭対策を行う方法などがあります。ニオイはホコリなどの微粒子にくっついて浮遊し、その浮遊した物質によりニオイを感じることもありますので、乾燥している冬場については加湿器などで空間を加湿するのも解決策の一つとして効果的であるとされています。
本人への注意喚起
「ニオイ」ということを厳しく指導すると、その指導自体が、人権侵害やハラスメントにあたるとして指摘をした側が訴えられてしまう事例もあり、リスクがあるということに留意しておく必要があります。言われる当事者はとても恥ずかしい思いをすることから、他の人に聞かれないようにして、かつ丁寧に客観的な事柄を伝えるようにしましょう。異性から伝えられると余計に傷つく可能性がありますので、伝える際は同性から伝えたほうが良いでしょう。
研修や社内報などで理解を深める
会社全体の身だしなみ改善として取り組み、本人に対して限定的に指導するわけではなく、企業として研修や社内報などを活用しスタッフの皆さんに理解をしてもらう方法です。そのような施策により当事者となっている方が気付いてくれれば、本人の名誉を傷つけずに問題を解決することができます。
職場のニオイ対策に活用できるオゾン発生器
スメルハラスメント対策として紹介したい製品が、オゾンを発生させてニオイ成分を分解するエアクリーンNYC(ナイス)です。オゾン(O₃)は3つの酸素原子から構成されているため、悪臭の原因となっているニオイ成分の元から分解します。例えば、悪臭でよく知られているアンモニア臭(2HN₃)はオゾン(O₃)と反応し、窒素(N₂)と水(H₂O)に分解されますので、人がニオイを感じにくい物質へと変化します。このようなイオンの特長によりオフィス空間のニオイ環境の改善が期待できます。加えて、除菌やウイルス除去もしてくれるというメリットもあります。空間に浮遊しているニオイの物質だけでなく、対象物に付着している物質に対しても消臭機能が期待できますので、オフィスでのニオイ対策に一定の効果が見込めるのではないでしょうか。
スメルハラスメント対策を行い快適なオフィス空間を
ニオイの問題は人により感じ方がさまざまであるということや、嗅覚は五感のうち本能に働きかけやすいことから、大きな問題へ発展する可能性がある内容です。とてもデリケートな問題ですから、企業の担当者としては丁寧な対応と対策が求められます。スメルハラスメント対策について、今回のコラムをお役立ていただければ幸いです。