コラム
校務支援システムとは?そのシステムとメリットについて解説
公開日2021.12.27
更新日2021.12.27

校務支援システムとは?そのシステムとメリットについて解説

校務支援システムとはどのようなものでしょうか。小学校・中学校・高校などの先生の勤務時間は11時間30分以上(平均で3時間以上は土日も勤務)で、このような過剰労働の傾向は今後さらに加速されるとの調査報告があります。学校業務の多様化による先生への業務負荷を軽減する手段として注目が集まっているのが「校務支援」というシステムです。今回のコラムではこの校務支援システムのメリットと活用方法をお伝えしていきたいと思います。

そもそも校務とは

学校全体の業務のことを校務といいますが、おおまかに区分すると「校務」と「教務」に仕分けることができます。校務は生活リズムや安全衛生面の管理が主体となり、教務は学習の進捗・理解度の管理が主体となります。初等教育の場合は全員が同じ教科を習得するケースが一般的なため校務と教務を一体で管理する場合があり、中・高等教育の段階に入ると、教科の選択制が始まり生徒ごとに教育進捗度合いを測定する必要から、校務と教務を分ける学校が増えていきます。

校務にかかわる業務は低学年では学校と家庭間で交わされる情報をもとに処理されることが多く、高学年なるほど生徒からの情報が増える傾向にあります。学校に集約されたクラス情報は担任から学年主任に集められ、さらに各学年情報が主事先生や教頭先生で整理され、生徒児童の安全面・衛生面の改善に利用されるのと同時に、統計情報として教育委員会を経由して、県・国の政策判断情報として活用されています。

校務支援システムの必要性

平成28年度の「教員勤務実態調査」によると、教諭(学校の正教員)の平均的な1日の学内勤務時間は、小学校で11時間15分、中学校で11時間32分と長時間となっており、見過ごすことができない勤務実態を読み取ることができます。先生の本来の業務の一つは「生徒の学力を向上させる」ことですから新しい授業のスタイルを構築することが求められ、そのためには十分な研究時間が必要になります。しかし部活動や、いじめ・不登校問題、保護者対応、会議や研究会などといった多種多様な校務があり時間を作ることが難しい状況です。

常に時間に追われている中で、日常的に発生する出欠管理・成績管理といった校務が手書きや手作業で行われると、ケアレスミスによる間違いが生じやすく、限られた時間の中でルーティンワークを終わらせることができず校務が過負荷となり、過労でダウンしてしまったり仕事を続けることができず離職してしまったりと、悪い循環が生まれてしまいます。かといっていい加減に処理をすることができない校務ですから入念にチェックすると、どうしても時間や手間が取られます。そして校務を自宅に持ち帰らなければならない状態に陥ると、個人情報漏洩などのリスクも発生します。

教職員の負担が大きくなる要因の一つに、日本型教育があるのかもしれません。国語・算数などの教科指導と、掃除・給食といった共同作業を伴う生活習慣指導が日本教育の特徴といわれています。最近では、これに加え英語学習やICT教育強化が示され高等・大学教育と連動を意識した新教育指導要領により、小中一貫校や中高一貫校さらに小中高一貫校運営を行う学校も現れてきて、このような取組を実施するために先生の時間がさらに足りなくなるという状態です。

数十年前の公立小学校ではクラス担任の先生がほとんどの教科を教え、生活指導も任されるというワンマン体制がほとんどでしたが、近年はいじめに象徴されるような課題解決の能力も求められると同時に、実態調査や報告業務が加わり業務の分担制を検討・実施される学校も多くなってきました。

校務支援システムとは

このような看過することができない状況の中で、情報通信技術(ICT)の力を活用し先生の校務過負荷を軽減するとともに、情報を共有して学校の先生や保護者が一体となり生徒の教育にあたる体制を作る手段として期待されているのが校務支援システムです。

インターネットを活用して先生・保護者・生徒間の連絡をスムーズに行いつつ、情報を一元管理して生徒の指導に活用するなど、教職員の業務負担を軽減するコミュニケーションツールです。先生の一般的な教務系の校務である「在籍管理」「出欠管理」「成績管理」「通知表の作成」「指導要録の作成」などをシステム上で行うことができます。上記の校務に加えて、「保険管理」「購買管理」「施設管理」「掲示板管理」といった事務系の校務の情報を同じソフトウェアで管理できる統合型校務というシステムもあります。

校務支援システムのメリット

1.ケアレスミスを防止する集計機能

就業時の健康診断や学級編成・学級変更、転入出の管理などの作業に活用することができます。出欠席情報の集計を自動で行うことができ、一度入力したデータを通知表や指導要綱などへ引用や転用させたり紙に印刷したりすることが可能です。転記ミスを防ぎながら事務作業時間を短縮するというメリットが生まれます。システムの導入により先生1人あたりの年間勤務時間を200時間以上削減したという報告もあり校務の効率化につながります。

2.会議の議題やお知らせを掲示板で共有

校務支援システムには先生同士で情報交換をしたり、伝達事項を伝えたりするなどコミュニケーションを促進する機能があります。これは対面でのコミュニケーションを否定するものではないかと拒絶的な反応を示す方がいますが、電子的なツールを上手に活用することによってさまざまな効果が生まれ、より連携を強化することができ業務改善を実現するものです。

ICT学習教育は、先生同士がこのような支援システムを通常業務で使うことから、より実践的な指導につながっていくと考えています。新しい技術や道具はとりあえず使ってみなくてはわかりません、児童が社会に羽ばたいていく頃のデータデバイスは、どんな形になっているのか楽しみです。今の若者はキーボード入力を知らずタブレットのタッチ入力しか操作できない人もいるそうです。

3.共有した情報でナレッジマネジメントを実現

いろいろな情報がシステムの中に一元管理され、従来は属人的であった教育に関するノウハウや気づきが蓄積され、先生間で共有され生徒の指導に生かされたり、学校運営をするための情報として活用されたりといったメリットがあります。生徒に対する先生の日常的な気づきを、他の先生が知ることで、先生全員で生徒を見守り指導するという体制を整えることも不可能ではありません。

4.ペーパーレス化が進み印刷費や郵送代を削減

会議の資料や生徒や保護者にわたす資料は、PDFやExcelなどでのデータの閲覧や受け渡しが可能です。コピー代や郵送代に加え、印刷や郵便に出すといった手間が削減され学校経営を助けます。アンケート機能がついている校務支援システムであれば、回収した用紙の管理や集計作業も不要になります。

校務支援システムを活用し校務改善に生かしましょう

校務支援システムを有効に活用することができれば、学校の先生や職員のルーティンワークを助けるとともに、その蓄積したデータを活用しながら先生と保護者が連携することで生徒への教育体制を強化することができます。学校と家庭は適切に情報交換を行い、整理された統計情報を公開することで地域の協力も得やすく、学校・家・地域の連携することで児童・生徒の安全・安心確保がより一層進むでしょう

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